クロージングのための4つの基本的アプローチ
プロスペクトを好意的で前向きな態度に保ち、自分が持っていきたい方向に会話をリードし、最終決断ではなく選択肢を与えることは結構なことです。ただし、これらは基本的なガイドラインなのですが、それが品物を売ってくれるわけではありませんし、具体的にどのように最終目的であるクロージングを達成するのか示してくれているわけではありません。
数々の営業マンやセールスマネージャーたちと会話を重ねたことで、売るための4つのアプローチをひも解くことができました。この4つは、最短で取引をクロージングする方法であり、あなたなりのやり方で、いろいろなクロージングの局面に使うことができるものです。
1つ目は、最もベーシックな手法です。プロスペクトの反論を打ち負かすことに集中するのではなく、製品やサービスの販売条件や特色の中で、彼が興味を示した部分を強調するということです。
芝刈り機を売っていた営業マンが真っ先に強調したのは、エンジンの静かさでした。これについては、近所の家とどれだけ隣接しているかとか、早朝に芝刈りをするかなどの質問を受けながら、コメントの作り込みが出来たかもしれません。
大事なことは、プロスペクトが好んだこと、あるいは気にかけていた特徴に焦点を絞ったということです。自動スターターについての質問に対しては、無視するのではなく、それが焦点にならないように答えました。
彼はただ、その芝刈り機は自動スターターが無くても簡単に起動させることができるということを説明し、見せました。むしろ、客が自分で見るように仕向けました。それから、プロスペクトが、芝刈り機の音が大きすぎないか心配していることが分かると、マフラーの話で肉付けしました。結果として、売ることができました。あなたは、もう一つ気づいたかもしれませんが、彼は買ってくださいとのお願いはしませんでした。彼はプロスペクトにそれが欲しいのかどうかは聞かずに、支払いはどのようにしたいかということを聞いたのです。選択肢を与えたわけです。
彼は、自分が買ってもらえると思っている(プラス思考)ことを分かってもらうために、念押しで集塵器の話をしました。もちろん彼は必至で売ろうとしていたのですが、第一の目的は、プロスペクトの注意を芝刈り機からそらし、当然買ってくれるところまで来たことを前提に、関連商品の説明に移ることでした。
<もし怪我でもしたら>
このやり方は、保険の営業の分野にも使えます。
「カーターさん、ノースサウス保険のエド・ギャンブルです。生命保険にご興味がおありだと伺っております。いくつかプランを見繕いましたので、どうぞこちらにおかけください。ご覧のように、このポトフォリオは今現在から引退の年齢を過ぎるまでの期間をカバーしています。」
「さて、ベストなプランかどうか確かめるために、いくつかの質問にお答えください。」
子供の人数や会社の年金プランや定年退職までの年数など聞いた後、彼は考えたプランについて説明し始めました。
「カーターさん、今ですとこちらの20年払いの...」
「保険料はいくらですか。」
「この段階では保険料より大事なことがありますので、後ほど説明させてください。さて、こちらが...」
「万が一、私の体が不自由になった場合、誰が保険料を払うんですか。我々電気工の仕事は危険に隣り合わせではありませんが、時にはそういうこともあるのです。」
「カーターさん、仕事中であってもなくても、万が一の時には、保険料は自動的に支払われ、保険契約の条件が変わることはありません。それと他にもメリットとしては...」
この営業マンはプロスペクトが何を求めているのかを突き止めました。彼が好きなもの、あるいは一番気にかけていることです。彼は次にそこを攻めて行きます。そのほうが、彼の反論を負かしながら、突き立てていくより、はるかに簡単にクロージングできます。
「月々のトータルの保険料は、わずか89ドル43セントで、すべての契約に保険料払い込み免除の条項付きです。キャッシュは積み立てられていきますし、配当も出ます。もし、あなたに万が一の事があれば、保険料は肩代わりされます。」
彼はプロスペクトに保険料のことを伝えましたが、むしろ他のプラス因子を強調していました。積み立てのキャッシュバリューと配当、保険金支払い免除条項、受け取る保険金の額、それに対して月々の支払いは、わずか89ドル34セントであったということです。
<スコットさん これをどう処理しますか>
基本的で効果的な賛同誘発クロージングの方法は、プロスペクト自身にあなたが何を売っているものを語ってもらうというものです。
トラクターを売っている営業マンは、もちろんアタッチメントが連結棒にどのように連結され、綿花を耕作するためのスキをどのように取りつけるのかは知っています。でも、プロスペクトにやって見せてもらっては如何ですか。
「スコットさん、これがJ-196です。お望みの四気筒ディーゼルです。油圧式の連結棒と3点接続器が付いています。実は入って来たばかりなんです。新しいアタッチメントなので、どうやって連結させるのか事前に確かめる時間もありませんでした。」
「やってみますね。これはここと...いや違った。ちょっとメカニックの担当を連れてきたほうが良いみたいです。」
「見せてごらん。トラクターの使い方は、分かっているつもりだ。分からなかったことは無いからね。」
「おい、この回転椅子は良いね。この30年ずっと、後ろにあるスキを見やすいように椅子を改善して欲しいと思っていたんだ。」
「降りるのも簡単になったね。この年になると、助かるよ。」
ここに鍵があります。この農場経営者は農業機械に詳しいことにプライドを感じており、これが一番安全で、乗り心地が良く、便利なモデルであることを確かめたいと思っています。先を読んだ質問をいくつかすれば、この農場主は自分で自分に売込みをかけ始めます。あなたは、クッション付きの全天候型のシートと夜間の作業のためのヘッドライトに注意を向けてもらいながら、いろいろな機能について、あれこれ質問すれば良いだけです。売ることが、注文書と書くのと同様、容易になります。
<私はしゃべれません>
先日、それまで見た中で最高の部類の投資信託のポトフォリオを売っている友人とランチをともにすることになりました。彼のオフィスに着くと、彼は来客中でした。もうすぐ終わるので少し待って欲しいと彼の秘書から言われました。
彼が客を見送りながら、笑顔で握手を交わしているのを見たとき、商談が成立させたか、それに近いところまで行ったのだろうと思いました。
2人でエレベータを降りて、レストランでウェイターが来るのを待っている間、彼はそのプロスペクトのことを話し始めました。
「あんなタフな客は初めてだったけど、『それはどういう意味ですか』という言葉を使うアプローチのおかげで何とかなったよ。」
「知っているだろ。意味がわからないふりをするやつだよ。いい加減な説明をするよりは、クライアントに逆に質問したんだ。」
「この人はインテリタイプで、こんな単純なことが分からないのかと言いながら、喜んで教えてくれそうだったので、やってみたら、うまくいった。」
「その条項は会社の企画部が推奨している累進投資スケールに関することだった。僕はそれを作った連中と同じくらい知っていたんだが、あえて言わなかったのさ。」
「思わず、笑ったね。彼は言い始めたんだよ。『初期投資の3000ドルを支払った後、最初の7ヶ月間は、月々18ドルずつ投資する。次の期間に入ると...』そして最後には、『私の3年後の追加投資は月々数ドルになっている。初期の投資からのリターンが支えになっているからだ。』彼は見事に自分で自分に売込んでくれていたんだ。」
「営業マンである自分が自分の商品についての質問をして、彼が答えてくれる。立場が真逆になっていた。もう少しで、彼からそのプランを買いそうになったよ。」と言って、彼は笑いました。
可笑しいですか。その通りですが、でも、はなはだ重大なことです。彼が獲得した3000ドルの小切手とその後の数年間、彼に入ってくる手数料でした。これを考えれば、笑い事では済まされません。
<マイクから一言>
プロスペクトの教えを乞うて、客のプライドをくすぐりながら、クロージングにこぎつけるやり方は、確かに有りですが、注意が必要です。営業マンはプロスペクトに頼りがいを感じてもらうことが非常に重要だと述べたことがあります。客に自分が売っている商品についての質問をしても、彼から「頼りない奴」とか「そんなことも知らなくてよく営業マンやっているなあ。」などと思われたら最後です。ただ、一流の営業マンでさえも知らないかもしれないことをプロスペクトが知っていて、彼も営業マンがここまで知っていることはないだろうと思っていると確信できたとき、プロスペクトにその知識を披露してもらうのは効果があります。ただ、本当に気をつけてください。あなたが車を売っているとします。プロスペクトが機械工学、電子工学、あるいは流体力学に詳しかったとして、最新モデルがその分野の最先端技術を使っていたとします。その場合、プロスペクトに技術的原理を教えてもらうのは、リスクも少なく、クロージングの助けになるかもしれません。あるいは、そのプロスペクトは、50年も前からあなたの会社が作っている車に乗っていているのなら、昔のモデルについて、あなたが知らないかもしれないことを語ってもらうのは良いことです。しかし、「この車のブレーキパッドの材質は何ですか。」というような質問はいけません。たとえ、あなたが、勉強嫌いの過去を背負っていたとしても、そのようなことを営業マンが自分に聞いて来るというリアリティーは、プロスペクトにはないのです。この章で教えていることは非常に奥深いのです。昔、プロスペクトの前で平気で「わし、あほですねん。」と言ってのけるトップ営業マンがいました。そんなことを言い続けても、プロスペクトから好かれ、頼りにされるような天才でないと使えない言葉です。
<もう何ドルか払えば>
特にクロージングが難しいプロスペクトに対しては、ありとあらゆるセースルトークやテクニックを使うより、デモンストレーションをした方が効果的です。
理由は簡単です。あなたは4000ドルの車や30000ドルの家、月々90ドルの保険のポトフォリオなどを、それらを実際に見ることをせずに買いますか。
買わないでしょう。ほとんどの顧客たちも同じです。
私は車や小物を、客に実物を見せたり触らせたり、徹底的に調べさせずに売ったことがありますが、それは顧客が私のことをよく知っていたか、単に注意深さが足らなかっただけのことです。
従って、ほとんどの場合、デモをするべきです。しかし、ここぞという時のために取っておいてください。プロスペクトがあなたの提案を受けるか迷っている時に、決め手として使ってください。
もちろん、保険や投資信託のポトフォリオを実際にデモすることはできませんが、代わりに他の顧客がそれを買うことでどんな見返りを受けたのか、どれほど満足だったのかを話して聞かせることでデモ(実証)することができます。
多くの場合、新しいプロスペクトに既に買ったことがある人を紹介することは可能です。本質的にそれはデモなのです。
<デモでハードルを越える>
私の義理父は約200エーカーの耕作地がある大農場を持っています。ある週末、彼を訪問した時、彼は購買を考えている2台のトラクターを営業マンが持ってくるのを待っていました。
1台の車が乗りつけました。一人の男が降りてきて、義理父の名前を聞き、その会社のセールスマンだと自己紹介し、トラクターはトラックで運ばれてくると言いました。
彼の身なりを見て、私は少し驚きました。カーキ色の服、茶色のブーツ、革ジャンなどそれまで私が見てきた営業マンとかなり違っていました。
トラクターを乗せたトラックが到着すると彼は飛び乗って、タラップを降ろし、トラクターを運転して地面に降ろしました。アイドリングさせたまま、周りを歩いて、タイヤのサイズ、連結棒と接続部、燃料の容量などをチェックしている義理父の後に続きました。
「ジョー、ベンツさんと僕が話している間に、これを畑に移動させて、鋤(すき)を取り付けておいてくれるかい。燃料も十分入れておいてくれよ。多分、ここに置いて帰ることになるから。そうですよね、ベンツさん。」
「ちょっと試運転して様子を見ようと思っているだけだが...」
「存分に試運転していただけますよ。その前に性能の話をさせてください。その方がよい買い物になりそうだ思っていただけるので。」(更なるポジティブ思考)
「実物を見ればすべてがわかるよ。数字を並べられても、関係ないね。」
彼は我々を家の方に誘導しながら言いました。「ベンツさん、トラクターのランニングコストはどれくらいですか。週当たりでどんなもんですか。」
「そうだなあ。トラクター1台で、週にガソリン代が40ドルから50ドルはかかるよ。確認してみないとはっきりしないが。どうしてだい。」
「この2台のトラクターはどちらも、丸1週間動かすと、2倍の仕事量とこなして、コストは半分になりますよ。例えば、今お使いのものは6枚刃ですが、この2台はどちらも12枚刃なんです。」
「ふざけたことを言うんじゃないよ。そんなわけないだろ。」
私に彼の目的がわかりました。彼はディーゼルを紹介しようとしていました。私の義理父が5年前には入れておくべきだったものです。今は、その初期投資も賄える状態です。私は、その営業マンを手伝いながら、彼のリアクションを見てみることにしました。
「お父さん、2つともディーゼルですよ。前に言ったけど、何年か前に入れておくべきだったものですよ。僕が何年も進言し続けて来たことを、この若者に見せてもらいましょうよ。」
「レス、お前は自分の仕事のことを心配しなさい。農場経営の運営ことを考えるのは私だ。どんなトラクターを使うかを私以外の誰にも言って欲しくないね。」
若い営業マンは、私が農園の運営について教えようとしていることに腹を立てていることを察して、首を横に振って、1人の営業マンからもう1人の営業マンへ合図を送ってきました。ここは自分に任せてくれれば、この状況を切り抜けることができるという合図を。
「ベンツさん、ときどきガソリンが無くなることはありませんか。この農場の中に車を持っている人はいますか。自分用に農場のガソリンをもらっているのかもしれませんね。よくあることですよ。」
「間違いなく取っているよ。俺の目を盗んでやっているんだ。間違いない。とっ捕まえたいよ...」
「みんなに、ディーゼルのことは言わないでください。タンク1つ分のディーゼル油さえあれば、誰が盗んでいるのかが直ぐわかりますよ。もう見つけ出して捕まようと頑張らなくても良くなるんです。彼らの車は第2種ディーゼル油では、少しも動きませんからね。1ガロン18セントで、タンクに配給させていただきます。」
「別の特別なタンクが必要じゃないか。」
「我々がタンクを設置し、メンテナンスも行います。水抜きや塗装、洗浄などを無料で行います。燃料の種類や値段にかかわらず、タンクのコストはこちらで負担させていただきますよ。」
この若者は、営業マンでした。彼のすばらしかったところは、デモンストレーションのネタも別に準備したいたところです。
義理父は、12枚刃のトラクターにのり、未耕作の土地に乗り入れ、調整機でアイドリングより少し上に保たせながら、また、笑顔に戻っていました。
彼が来てから1時間も経たないうちに、そのディーゼルトラクターの取引はクロージングしました。彼は、翌週の月曜日にベンツ氏が店舗に行く前に、前受金の小切手を受け取って帰って行きました。
<マイクから一言>
ポジティブ思考とは何なのでしょう。特定の結果を当然のこととする概念を持つことです。もっと分かり易い言葉で言うと、その結果を当然のこととして信じ込むということです。
営業プロセスにおいては、次のようなポジティブな思考でいることが大事です。
‐とどのつまりこのお客様は商品を自分から買うことになる
‐商品を買った後、このお客様は必ず、満足する
‐このお客様は自分のことを気に入ってくれている
分かっていただけましたか、希望ではありません。良い結果になることへの信じ込みです。過去の有名な成功哲学者や成功者たちは、思考が現実化することを世の中に伝え続けていました。中村天風は独特の呼吸法を伴うポスチュレート、ナポレオン・ヒルは、実現したいことを紙に書いて、それを毎日見て自分の思考を確認し続けるという手法を本にしています。そうすれば、自分の努力に加えて、自分の周りの状況が思考に向かって動きだすというのです。私は信じています。知識やテクニックを身に着けた上で、自分の目標についてポジティブな思考で満たしておけば、想像を絶するほどの良い結果が待ち受けていると思いませんか。必ず待ち受けています。
<私はそれが好きだから買いました>
プロスペクトの中には、自分が見たり感じたり味わったりしたことさえも信じられない人たちがいますが、そんな人たちにも使える様々なデモのやり方があります。
彼は営業マンに対する恐れや疑念があまりにも強く、見たことを見た通りに受け取り納得することできません。自分の目を信じることができないのです。信じてください。これこそが本物の恐れであり、疑念なのです。
こういう人は外からの影響にさらす必要があります。例えば、あなたが売っている製品やサービスを買って満足している人です。通常、あなたのプロスペクトは、買ったものに満足していることを彼に話しても、何の特にもならない人(利害関係の無い人)の言うことに耳を傾けます。
以前、自動車の販売代理店のT.O.(Training Officer)だった時、ある難しいプロスペクトに3シートのステーションワゴンを売り込んでいる営業マンをサポートしたことがあります。この客の妻からのプレッシャーも、その難しさに拍車をかけていました。
その客は、妻と5人の子供の家庭を持つ人でした。彼が言うには、ワゴンが必要なのは山々だが、人の話によると数ヶ月経てば、ガタガタと音がし始めるらしく、それに我慢できないとのことでした。それに加えて、他に検討中の外国製の車が1000ドルも安いことも、もっともな懸念材料でした。
エドは、その人と彼の妻を、5人の子供たちと一緒に私のところに連れてきて、状況を説明しました。我々はアメリカ製の中級車を見せていましたが、プロスペクトは外国製のバス型を考えていました。それの方が異音の問題もなく、安価だと思っていました。人からそう言われていたのです。
乗り心地の悪さや故障の時の部品の問題など外国車の欠点も説明しましたが、全く動じませんでした。彼らは3シートのワゴンは音がうるさく、高くつくに違いないと決めつけていました。エドと私は、そんなはずはないと思っていました。
それは金曜日の夜のことでした。私はちょっと席を離れて、半年ほど前に3シートのワゴンを買っていただいたお客様に電話をしました。彼には7人の子供がおり、そのうち4人は10歳以下でした。
「カッツ様、先日は奥様といっしょにステーキをご馳走してくださいまして、ありがとうございました。あれはいつでしたっけ。」
「デイン君、会話の切り出し方を知っている君らしいね。何か考えているだろ(笑)。」
「ステーションワゴンの調子は如何ですか。奥様も気に入っていただいていますか。」
「先月の点検の時に君に言ったように、今までで一番賢い買い物だったと思っているよ。どうしてだい。」
「実は、お宅様と同じような検討をされているご家族がおられまして、3シーターのステーションワゴンか外国製のバス型を考えられていますが、今のところ説得できていない状況なんです。」
「その人たちは大間違いを犯しているね。私がそう言っていたと言ってやりなさい。家内も同じことを言うと思うよ。こう言ってやれば良い....」
「直接、言ってあげてくれませんか。」
「はあ?」
私は、たまたまという感じで、出来るだけ早くその場所にお子さんたちも連れて来ていただいて、3シーターがどれほど好まれているか、外国製を買って後悔しなくてすむということを見せて欲しい旨、お願いしました。
彼にそのやり方を聞いていただきました。オフィスまで来てもらい、私がその客と話しているところに、何か理由をつけて話しかけてきて、会話の邪魔をしてくれれば、そこから先は私に任せるというものでした。
その作戦は見事に成功しました。
二人の妻たちは意気投合し、男性たちはあっという間に、ステーションワゴンで乗り出し、カッツ氏は、自分の車が外国製と比べて如何に勝っているかを細かいところまで、大いに自慢してくれました。私とエドは子供たちの面倒をみて、両親が帰ってくるまで楽しく過ごしてもらいました。カッツ氏の一番上の子はデートで出かけていました。
10分ほどたった時に、彼らは戻ってきました。車を降りながら、プロスペクトの妻は、「1つだけ心配なことは、年数が経つと、ガタガタという音が鳴りだすと、聞いていることなの。買い替えができるほどお金が貯まるまでには、年数が経ちますからね。」
カッツが注文を取ってくれたのは、彼女がこう言った直後でした。「ねえあなた、私たちみたいに車の中が子供たちでいっぱいになるような家族には、車からガタガタ音がしても同じことかもね。あたなが欲しいと思っている乗り心地の車にしましょうか。」
第三者からの影響が功を奏しました。もちろん、カッツ氏の協力があってのことでしたが、彼らは見た通りの本当のことを話して、プロスペクトの夫妻を、誠意をもって助けようとしてくれたのでした。
もともと、上手く事が運んだ時の約束事があったわけではありませんが、私たちは家族全員を夕食に招きました。その時は、前にデートでいなかった息子さんと彼の彼女も呼びました。
私の義理父のケースは、デモンストレーションを切り札として持って置きながら、それまでの慣習を変えたくないとい理由で購買を決めようとしない相手に、絶妙なタイミングで、その切り札を使ってクロージングした良い事例でした。
ステーションワゴンの営業のケースは、プロスペクトが他社の品物にしようか迷っているときに、第三者からの影響を使うことが、クロージングを達成するための助け、明白な恩恵になることを示していました。
この章を要約すると、あなたは会話の焦点を自分で決めなければなりせん。自分が望む方向に会話を導くのです。その過程でクロージングの障害となっているレンガの鎧からレンガを取り除きます。常にあなたのコントロール下でやるのです。
会話をコントロールして、直線的にクロージングに向かっていくと同時に、プロスペクトが「ノー」を言うチャンスを無くしてしまいます。
そのために、あなたはプロスペクトに代替え案や選択肢を聞きます。それができないと「ノー」と言うチャンスを与えてしまいます「ノー」という言葉を使わせないことは、クロージングに向けて会話をコントロールすること肝心な部分なのです。
スムーズにクロージングするための3つ目の基本的なルールも、コントロールの手順の一部です。プロスペクトが受け入れムードになっているときは、彼をその状態に保ちなさい。彼が一人になって、注意が他に向かないように、言い換えると受け入れムードに変化が起きないように、最新の注意を払ってください。一旦、めばえた受け入れムードが崩れてしまうと、クロージングが難しくなるか、全く不可能になってしまいます。
3章では、クロージングを成功させるための3つのマスト(必要なアクション)のことを述べてきました。この3つは、お互い関連しあっており、必要に応じてアレンジすることも、もちろん可能です。あなたは、前から、似たようなことをやって来たかもしれませんね。
最初にどんな人かを見極め、彼の態度を判定し、それに応じてリードし、イエスかノーを言わせないように選択の機会を与えます。そして、売り込みへの抵抗であるレンガ造りのヨロイを外したら、外したままにするのです。そうすれば、クロージングがスムーズで容易になり、成約率が上がり、あなたはトップ営業マンであり続けます。


